あなたがアクセス解析を行う上で、最も重要視していることは何でしょうか?もし、この質問に明確に答えることができなければ、アクセス解析に割いている多くの時間を無駄にしている可能性があります。そもそも、なぜアクセス解析を行うのでしょうか。端的に言えば、「Webサイトのパフォーマンスを向上させるために必要な改善施策を割り出すため」。そのためには、Webサイトのビジネスゴールに影響する要因(訪問数や閲覧経路など)を分解し、改善施策を割り出すためにはどのようなデータが必要かということを明確にした上で取得を行い、分析することが重要です。
では、改善施策を割り出すために必要なデータをどのようにして明確化するのか、弊社のWebサイトを例に考えてみましょう。 現在の弊社のWebサイトのビジネスゴールは、「見込み顧客の獲得」です。見込み顧客の獲得への影響要因は、どれだけ多くの潜在顧客を集め、そのうちどれだけの潜在顧客を見込み顧客化できているのかということになります。つまり、見込み顧客の獲得=訪問数×問い合わせ完了率となります。更にこの各指標に対し、直接的に影響を与える指標に分解していきましょう。
訪問数を分解して必要なデータを割り出す
まず、「訪問数」を分解してみましょう。
訪問数は、ユーザーがWebサイトに訪問するに至った経路を考えることで分解することができます。 訪問には大きく分けて、検索エンジンからの訪問、検索エンジン以外の他のWebサイトからのリンクである参照元からの訪問、参照元のない訪問の3種類があります。 検索エンジンからの訪問を分解すると、ユーザーが自発的に行った検索からの訪問が考えられます。さらに、Google AdWordsやYahoo!リスティングといった検索連動型広告を出稿しているのであれば、そこからの訪問に分解することができ、それぞれ検索キーワード別、GoogleやYahoo!などの検索エンジン別といった指標が存在します。
参照元からの訪問を分解すると、どのWebサイトからの訪問なのかを判別する参照元ドメイン別に分解することができます。ディスプレイ型広告などを出稿しているのであれば、広告クリエイティブのバリエーションに分解することも可能です。 参照元のない訪問に関しては、ブラウザのブックマークによる訪問やアドレス欄へのURLの直接入力が考えられますが、アクセス解析のデータの上では判別することが不可能なため分解することができません。そのため、取得できるのはランディングしたページのURLのみとなります。
問い合わせ完了率からユーザーの動きを読み取る
次に「問い合わせ完了率」を分解してみましょう。 問い合わせ完了率は、ユーザーが訪問してからコンタクトフォームで問い合わせを完了するまでのフローの部分となります。Webサイトの構造やページ構成、サービスの内容、コミュニケーションの内容、デザイン、ユーザビリティ、閲覧環境など要素が複雑に関連するため、訪問数のように明確に分解することはできません。
しかし、問い合わせに至ったユーザーは必ずWebサイトへ訪問し→入力ページから必要事項を入力→入力内容を確認→問い合わせを完了するというルートを通っているはずです。このように考えれば、問い合わせ完了率に影響を与える指標が明確になり、必要なデータが見えてきます。
情報構造(Webサイトの構造やページ構成)
- 訪れたページからどのように遷移しているのか、意図した通りに誘導できているのか
- どこで離脱しているのか
コンテンツ(サービスの内容・コミュニケーションの内容)
- どのくらいコンテンツを見てくれているのか
- どのページに訪れているのか
フォーム(デザイン・ユーザビリティ)
- コンタクトフォームの閲覧率(全体の訪問のうち、コンタクトフォームに訪問した訪問の割合)
- フォーム完了プロセス(必要事項入力→入力情報確認→問い合わせ完了)の各段階での離脱率
閲覧環境
- OS/ブラウザ
- 画面サイズ
これまでの内容をまとめると以下の図のような形になります。
データの比較・分析の積み重ねから改善ポイントが見えてくる
ここまでで、改善施策を割り出すために必要となる基本的なデータが見えてきました。
これらを基に、全体のデータと問い合わせに結びついたユーザーにセグメントをかけた状態のデータを比較しながら分析を行うことで、ビジネスゴールである「見込み顧客の獲得」に対し、大きく影響を及ぼす要因をリストアップし、影響度合いの大きなものからプライオリティ付けを行い、改善施策を行うポイントを割り出していきます。
その際に、CRMを通じた顧客リレーションや、口コミ、ソーシャルメディア上のバイラルなど、アクセス解析以外のデータも総合的に分析を行うことも必要です。 改善施策を行うポイントを割り出した後は、実際に「月間○○回の問い合わせの獲得」などの数値目標を立て、改善施策のパフォーマンスを計測できるよう設定を行い、継続的にPDCAを実施していきましょう。
今回は弊社のWebサイトを例としているため、Webサイトのビジネスゴールによって違う指標が必要な場合も考えられます。しかし、ビジネスゴールに影響を与える要因を分解することで、改善施策を割り出すために必要なデータに落とし込むという基本的な考え方は、どのサイトにも当てはめることができます。まずは、あなたが担当しているWebサイトに当てはめ、あなたのビジネスに最も影響を与えるデータが何であるかを考えてみてください。