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デジタル投資を可能にするブランドリフト調査

荻野 英希 /

日本では消費者のデジタルメディアの接触時間と、企業の広告支出にいまだ大きなギャップが存在します。主にオフラインで販売を行う企業が、積極的なデジタルマーケティングへの投資に踏み切れない理由の一つに、効果測定の難しさがあります。PVやimp、いいね!数などの数値を報告されても、オフラインの購買に与える影響を説明することはできません。ブランドマネージャーなどのマーケティング実務者にとって重要な指標はブランドの認知率や、購入意向率などです。これらの数値は、売上などの財務指標に変換し、投資対利益を証明できるため、マーケティング活動のKPIとして採用されています。

デジタルマーケティングの投資を正当化するためにも、このような「意味のある指標」を活用する必要があります。売上目標から認知率、購入意向率、ユーザー数、1ユーザーあたりの獲得単価などのKPIを算出するために、多くのデータは必要ありません。さらに、そのKPIに対する効果を測定することも、決して難しいことではないのです。

オンライン広告のオフライン行動に対する影響を計測する試みは、アメリカで選挙運動の分析のために90年代後半に始まりました。1999年にはWeb上の行動データとアンケート調査データを連携させた広告効果測定を専門とするDynamic Logic社(現Millward Brown Digital社)が設立されています。広告接触者と非接触者にアンケート調査を行い、認知率や購入意向率の上昇を計測するブランドリフト調査の基本的な考え方は今も変わっていません。現在、米GoogleではAdwordsの標準機能としてブランドリフト調査を提供しており、誰でもリアルタイムに認知率、広告想起率、興味率を計測できるようになっています。

ブランドリフト調査を行えば、複数のバリエーションをテストし、効果的なクリエイティブを選定できます。さらに、複数の消費者セグメントの中から、広告反応率の高いターゲットを発見することもできます。しかし、最も重要なことは、予算と目標に基づくKPIさえあれば、間接的ながらもオフライン購買の効果を測定できるということです。
消費者のデジタルメディア利用は、広告主企業よりも速いスピードで進んでいます。デジタル施策がどれだけ購買に影響しているかを知ることができれば、積極的な投資が可能になり、デジタルマーケティングを推進できるでしょう。

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