FICCはデジタルエージェンシーとして、クライアントが抱えるさまざまなビジネス課題を解決するため、デジタルマーケティングに取り組んできました。そんなFICCのクライアントの多くは、ナショナルクライアントをはじめとした大手企業。予算が大きいことはもちろんのこと、求められることが多岐に渡り、かつ大きな成果が求められるプロジェクトばかりです。
そういったプロジェクトは、数々の案件をこなしてきた “ベテランのプロデューサー” が担当していると思われるかもしれません。しかしFICCでは、第二新卒の若手で入社1年でもプロデューサーを務めることがあります。それは単に “個人の裁量に任せる文化” だからではなく、「大きなプロジェクトを任せてもよい」と判断できるレベルまで成長するサイクルがFICCにはあるからです。
そこで今回は、入社1年で大手企業の担当プロデューサーになった第二新卒メンバーの事例とあわせて、FICCにおける成長サイクルをご紹介いたします。
入社1年でも大手企業の担当プロデューサーになれた訳とは
まずはじめに、第二新卒メンバーがなぜFICCに入社したのか、そしてどのようなプロセスを経て入社1年で大手企業の担当プロデューサーになったのかをご紹介いたします。
第二新卒でFICCに入社した理由「体系的に学べる環境があると思ったから」
第二新卒としてFICCに入社したS(仮名)。新卒では某IT企業へ入社し、約1年間、営業・企画・コーポレートなど幅広く業務を担当していました。
しかし「事業部からの視点でマーケティングを学びたい」という想いがあったものの、日々の担当業務領域や事業部の特性にインプットが偏ってしまうこともあり、特定の専門性を高めるにはそれを専門とする会社に属する方が早いと感じるように。マーケティングの専門性を高めたいと思った彼は、FICCに入社した理由をこう語ります。
個人的な経験則だけで成長するのではなく、体系的にマーケティングのノウハウやスキルを学びたいという想いがありました。そのためには、企業の中にフレームワークがあり、ノウハウが蓄積されている環境に身を置くのがベストだなと。
そこでさまざまな会社を探していく中でFICCと出会ったのですが、FICCのコーポレートサイトにあるブログを読んでいると、ここにはトレーニングプログラムもあるし、マーケティングに関する共通言語が会社の中で浸透していると感じました。そういったマーケティングのノウハウが個人に依存するのではなく、誰でも使えるフレームワークとして存在し、体系的に学べる環境で成長したいと思い、FICC入社を決めました (S)
短いサイクルで、学んだフレームワークを実践でアウトプットできる環境がある
そして第二新卒のメンバーSはFICCへ入社し、プロデューサーのアシスタントとして従事。1年後にはアソシエイトプロデューサーへと昇格し、シニアプロデューサー監修のもと大手企業のプロジェクトを進めるポジションとなります。
予算の大きいプロジェクトを、なぜ第二新卒の彼が担当できるようになったのでしょうか。それはFICC独自のトレーニングプログラムと、インプットした知識を経験に変えるアウトプット環境に理由がありました。
Web業界ではOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)による教育を取り入れる企業も多いでしょう。しかしデジタルエージェンシーとしてプロジェクトで求められることは多岐に渡るため、OJTのみではアウトプットの質を高めるのに時間を要してしまいます。
そこでFICCでは、フレームワークを活用した独自のトレーニングプログラムを活用し、体系的に学べる環境を用意しています。
もちろん、「知っている」と「実践できる」ことは違うため、トレーニングを通じてインプットしたことをアウトプットすることも重要です。今回、第二新卒メンバーSがアシスタントとして担当したのは、クライアントの特性上プロモーション実施の頻度が高く、それに合わせて提案の頻度の多いプロジェクト。そのためアシスタントとしても資料作成の機会や提案機会も多く、アウトプットせざるをえない機会が多くありました。
最終的にはクライアントに納得いただく提案が求められるため、何を押さえないといけないのか、フレームワークをどう使えばいいのかを考える機会も増えます。
インプットとアウトプットを繰り返すことで、フレームワークをどう使っていくのかを自分の中でイメージできるようになってきました。その結果、自分で自分の提案の粗い箇所を見つけられるようになり、フレームワークをもとに粗を潰していくというトラブルシューティングを短いサイクルで繰り返していくことができました (S)
そうして1年後、晴れて第二新卒メンバーSがシニアプロデューサー監修のもとで大手企業のプロジェクトを担当することになります。
「フレームワークがなければ無理だった」アウトプットの質を高める仕組みとは
インプットする材料として用いられたフレームワーク。第二新卒メンバーSは「フレームワークがなかったら、ここまでアウトプットの質を高めることは無理だった」と語ります。では、具体的にフレームワークはどのように活用されたのでしょうか。
こちらは、FICC社内のトレーニング用に使用しているフレームワークの1つです。たとえばこういったフレームワークがあることによって、提案にいたるまでの社内ディスカッションで出てくるワードであったり、クライアントからのオーダーで使われるワードが理解しやすくなります。
そしてフレームワークは体系立てられた「知識」としてだけではなく、アウトプットの質を確認する「チェックリスト」としても活用できます。
たとえば提案書のトレーニングでは、提案書作成のフレームワークを用いて知識をインプットしますが、実際に提案書作成時にはフレームワークと照らし合わせながら「この論点が足りないな」と論点の抜け漏れを確認することができます。
提案書作成に限らず、FICCでは1つのプロジェクトの成功体験を他のプロジェクトでも展開できるよう、事象を抽象化し、フレームワークに落とし込む文化があります。
さらに提案段階でも、そのプロジェクトからどのような学びが得られるか、どういったフレームワークに落とし込めるかをイメージしてクライアントへ提案します。それはFICCのためだけではなく、クライアントが保有する他ブランドでも展開できる「資産」としての学びを提供するためです。
このように、FICCではフレームワークをベースにしたトレーニングプログラムに加えて、大手企業だからこその多岐にわたる要望、それに応えるためのインプットとアウトプットを早いサイクルで回せる環境、そしてアウトプットを照らし合わせられるフレームワークやフレームワークに落とし込む企業文化などが成長サイクルとして機能しています。
第二新卒メンバーSのように若手であってもプロデューサーになれる理由は、このFICCならではの成長サイクルがあるからなのです。
メンバーのステップアップを実現する「FICCの成長サイクル」6つのポイント
ここまで第二新卒メンバーSの事例をもとに、FICCメンバーがステップアップしていく「成長サイクル」の全体像をご紹介してきました。続いては、FICCの成長サイクルをさらに6つのポイントに分けて、詳しくご説明していきます。
1. 「再現性のあるもの、それこそが価値であり資産である」という考え方
FICCでのトレーニングプログラム自体が生まれたのは、約5年前。「わからない」「難しい」という部下に対して、業界歴の長い上司が「それは経験が足りないから」と言うのは無責任ではないか、ということから、上司の “経験” を抽象化させて共有できる形に落とし込み、部下の “学び” にしようとしたのがきっかけでした。
しかし、FICCのフレームワーク化させる文化は、トレーニングプログラムがきっかけでできたものではありません。それ以前から、学びを体系化させる文化は存在していました。なぜなら、再現性のあるもの、それこそが価値であり資産である、という考え方が浸透していたからです。
FICCが担当している大手企業の多くは、複数のブランド、商品を保有しています。仮に1ブランドのプロモーションを行う場合、そのプロジェクトからの学びは同社の他ブランドへ横展開できる可能性は多いにありえるでしょう。
成功事例を1ブランドに留めるのではなく、フレームワーク化させることで横ブランドへ展開させることは、クライアントの利益を最大化させることができます。そのため、FICCでは成功事例を属人化したノウハウにするのではなく、フレームワークに落とし込み、共有するのです。そして、そういった学びを共有する企業文化が、FICCの成長サイクルを形成しています。
2. トレーニングは約30のプログラムが用意されている
FICCのトレーニングはベーシックスキル、マーケティングスキル、クリエイティブスキルといった領域から約30ものプログラムを用意しています。
ベーシックスキルにおいては、タイムマネジメントやミーティングの目的設定や進め方など、日々の生産性を高めるための基本的なスキルを学びます。そしてマーケティングスキルとクリエイティブスキルでは、FICC独自のノウハウを含め、クライアントへ提供する価値を最大化させるためのノウハウを学びます。
これらのプログラムは講師が話してフレームワークをインプットするレクチャー形式のものから、課題をもとにアクションおよびディスカッションをする形式のものまで、受講するレイヤーによって異なります。そして役職やポジションによって必須で受講するプログラムもあれば、希望するメンバーが受けられる任意のプログラムもあり、プロジェクトを進める上でメンバー各々に求められるスキルをトレーニングプログラムを通じて学ぶことができます。入社してある程度年数が経ったメンバーでも、トレーニングプログラムを受講したいというリクエストがあり、誰でもいつでもスキルアップできる環境があります。
3. プロジェクトの数だけフレームワークがあり、トレーニングプログラムは進化する
こうしたトレーニングプログラムで用いるフレームワークは社内だけにとどめず、クライアントに対して提供することもあります。
そして変化が激しいデジタルマーケティングの世界においてFICCでは、過去のフレームワークだけでなく、常に新しいフレームワークを生み出していくことが重要であると考えています。そのためプロジェクトを進めていく上でも、単に施策を行って終わりではなく、再現性のあるフレームワークに落とし込めるかどうかを意識して進めます。
またFICC社内では、事象だけでなく概念化させて学びを共有する文化があり、クライアントへ提供する価値の最大化を日々意識する環境にあります。
そうした中で生まれるトレーニングプログラムは、ある意味でFICCが提供している価値をコンテンツ化したものと言えるでしょう。日々のプロジェクトでの学びをフレームワークに落とし込み、社内の他メンバーへも学びが展開される――つまりプロジェクトの数だけフレームワークが増え、トレーニングプログラムが進化していくのです。
4. レビューによって “知っている” フレームワークを “使える” フレームワークへ
メンバーが成長するために、FICCではフレームワーク視点からのレビューを大切にしています。たとえばフレームワークをもとに何か仕事を行った場合、本人がフレームワークをもとに振り返ることはもちろん、チーム内であったり上司と一緒に「何を学んだのか」「どういうプロセスが隠れていたのか」といったことをフレームワーク視点でレビューをします。
そしてレビューはプロジェクト単位だけでなく、1回のプレゼンテーションであったり1回のミーティングであっても、メンバーと30分から1時間のセッションを設定してレビューを行います。上司から気づいたポイントを伝え、次回同じような機会があったときに再現できるように、すなわち “知っている” フレームワークを “使える” フレームワークにするようレビューを何度も繰り返して行います。
またプロジェクト単位でのレビューは、ただの反省会にするのではなく、「これは再現性のあるものだから、他プロジェクトへも横展開しよう」といったポジティブなレビューを行い、成功体験やノウハウを属人化させないよう意識しています。
5. 「育成者のための教育プログラム」を用意、教育にも再現性を持たせる
これまではメンバーのスキルアップを図ったトレーニングプログラムが中心でしたが、現在は役員メンバーを中心となって「育成者のための教育プログラム」を用意しています。
たとえばはじめて育成者の立場になったメンバーは、自らが過去に上司などから受けた指導などの経験則を再現しがちです。しかし育成者の立場のメンバーが「こういうアドバイジングをしたら上手くいったよ」といった事例を他育成者メンバーに共有、フレームワーク化させることで、経験則だけではない教育が可能になります。実際に教育のフレームワークを用いることで、教育の質というのは明らかに向上しています。
そして教育は社内メンバーというターゲットがいて、届けたいことがあり、いかにモチベーション等々の態度変容を見ていくかというのは、マーケティングに近しいものがあります。そこでマーケティングにおけるフレームワークを教育の観点にも取り入れるなど、FICCがこれまでに使ってきた別フレームワークを組み合わせることで、教育プログラムも常に進化しています。
6. 誰でもトレーニングプログラムをつくることができる
上述の通りFICCでは「再現性のあるもの、それこそが価値であり資産である」という考え方ゆえ、FICCのメンバーは「これをあのメンバーと共有しよう」であったり、「これをチームと共有したい」という意識を常に持ちながら仕事をしています。そのため、必然的に気づきやアイデアを再現性のある形に落とし込み、共有していきます。
「こういう結果になりました」というのは、共有ではなくただの “お知らせ” でしかありません。本当の共有は、抽象概念化させてフレームワークにまで落とし込むこと。そういった認識があるからこそ、FICCのメンバーは「新しいフレームワークを自分で生み出す意識」で仕事に取り組みます。
そうして生まれたフレームワークからトレーニングに役立つものは、どんどんプログラムに採用していきます。つまり、誰でもトレーニングプログラムをつくることができるのです。逆に言ってしまえば「よし、いまから席に座ってトレーニングプログラムをつくろう」と思ってもつくれません。日々の仕事の中での学びをフレームワークに落とし込むことで、FICCのトレーニングプログラムは生まれてきました。
おわりに:属人的なスキルアップでは、デジタルマーケティングの進化に追いつけない
デジタルマーケティングは常に進化し続けています。それはもちろんクライアントの課題を解決する手立てになる一方、プロジェクトの戦略策定から施策の立案などを行うプロデューサーが理解すべきことは、日々複雑化していくことを意味します。現場での経験、個人での学習といった属人的なスキルアップだけでは、デジタルマーケティングの進化に追いついていくのは厳しいでしょう。
そこで重要なのが、成長サイクルに身を置くこと。体系立てられたフレームワークが存在し、インプットとアウトプットを繰り返せる環境、そして単にトレーニングプログラムがあるだけでなく、組織として進化するデジタルマーケティングの学びを再現性のある形で共有する文化。今回ご紹介した第二新卒メンバーSが1年で大手企業の担当プロデューサーになれたのは、こうしたFICCの成長サイクルの中で意欲的に行動した結果であると感じます。
そして「再現性のあるもの、それこそが価値であり資産である」という考えを持つことで、クライアントの利益を最大化させるだけでなく、日本のデジタルマーケティング市場全体へも価値を提供し、社会に貢献できるのだとFICCは信じています。
FICC広報担当