FICCはデジタルエージェンシーとして、クライアントが抱えるさまざまなビジネス課題を解決するため、デジタルマーケティングに取り組んでいます。そんなFICCのクライアントの多くは、ナショナルクライアントをはじめとした大手有名企業。予算規模はもちろんのこと、求められることが多岐に渡り、かつ成果を出すことが求められるプロジェクトばかりです。
そういったプロジェクトにおいて、FICCディレクターに求められるのは、本質的にクライアントのビジネス課題を解決するクリエイティブ。すなわち「数値目標」を達成するクリエイティブ制作が求められます。そこで今回、数値目標を達成するためにFICCディレクターが意識しているポイントをご紹介いたします。
FICCのディレクターの役割は「戦略を理解してクリエイティブに落とし込むこと」
デジタルエージェンシーとして、FICCが大手企業のプロジェクトを進行する上で特に大切にしていることはなんでしょうか。
それはビジネスの目的に沿ったマーケティング戦略を策定し、そして施策一つひとつに「なぜこの施策を行うのか」「どう施策を行うのか」という明確な目的と戦略を持つことです。
そして規模の大きいプロジェクトでは、ディレクターひとりで戦略策定から実行部分まで行うには範囲が広く、クリエイティブに専念しづらくなることが懸念されます。FICCではプロデューサーとディレクターという職種があり、戦略策定を主にプロデューサーが行うことでディレクターがクリエイティブに専念しやすい体制を取っています。
一方で、ディレクターはクリエイティブ “だけ” に専念すればいいというわけではありません。戦略を理解してクリエイティブに落とし込むことが求められるため、戦略の意図を理解する上でもマーケティングの知識が重要です。ターゲットユーザーがどのように動くか、ターゲットユーザーの態度変容に対して最も適切なアプローチは何かを導き出し、クリエイティブに反映していくことが求められます。
FICCのディレクターは、クライアントに提供するクリエイティブは、クライアントのビジネス課題を解決するためのものと理解しています。そのため、戦略に基づいているのはもちろんのこと、施策が正しくワークしたのかを振り返るためにも、データに紐づいたクリエイティブ制作を行い、数値目標の達成にも常に配慮しています。
数値目標を達成するためにディレクターが意識すべき6つのポイント
それでは、FICCディレクターが数値目標を達成するために意識している6つのポイントをご紹介いたします。
1. クリエイティブに落とし込む前に効果測定の方法を決める
FICCディレクターが数値目標を達成するクリエイティブ制作で、まずはじめに意識すべきことはなんでしょうか。それはクリエイティブがKPIの達成に貢献したかどうかを知るための「効果測定の方法」を策定することです。
クリエイティブを決定する前に、効果測定として追うべき項目と、それら項目を数値として計測する方法について、デジタルでのテクニカルな解決方法なども踏まえ、プロデューサーと一緒に議論し明確にしていきます。
さらにデジタル上の施策だけでなく、イベントなどのリアルでの施策においても効果測定を行えるように設計。データは “資産” であるという考えのもと、施策すべてにおいてしっかりと効果測定の方法を策定します。
そしてこのタイミングで大事なのは、KGIに沿ったKPIが何かをディレクターも理解することです。必ずしも1つのKPIでKGIが達成されるわけではありません。たとえば新規顧客を何人獲得するというKGIに対して、どれだけ認知を獲得したかだけでなく、どれだけリーチ数を獲得したかなど、複数のKPIをもとに複合的に測定・判断していくケースがあるのです。
そういったKGI・KPIを正しく理解し、効果測定の方法を定め、「目的が明確でないクリエイティブは無駄になってしまう」という考えのもと、ディレクターはクリエイティブ制作に取り組みます。
2. ディレクターも過去施策、類似施策のデータは事前にチェックをする
基本的にFICCでは、KGI、KPIの設定はプロデューサーが行います。そしてそれらの情報がディレクターへ共有され、クリエイティブにどう落とし込むかを考えます。ここで過去施策や類似施策のデータをチェックするのも、数値目標を達成するクリエイティブ制作には重要です。
たとえばバナー広告で、クライアントから「テキストを増やしたい」といったオーダーがあるかもしれません。しかし過去施策を振り返ったときに、テキストをあまり入れないほうがCTRが良かったという結果がデータでわかっていれば、「ビジュアル重視にしましょう」といったクリエイティブの提案が可能です。
そのため制作前のバイアスがない状態のときに、広く過去施策、類似施策のデータ、またブランド側が行っているアンケート結果などのデータまで含めて、ディレクターは目を通し、クリエイティブに活かせるヒントを見つけていきます。
3. ペルソナ設計は必要に応じてブレストを重ねる
クリエイティブ制作においては、ブランドにとって最も重要で象徴的な架空の人物である「ペルソナ」を設計することが非常に重要なポイントです。しかし女性のプロデューサーやディレクターにとっては、男性向け商品のペルソナ設計が難しいでしょうし、逆もまたしかりです。
そこでFICCでは、適切なペルソナ設計のためにプロジェクトメンバー全員でブレストを重ねていくことがあります。たとえ時間がかかっても、効果のあるクリエイティブ制作のためには、いろいろな視点からペルソナ像を描いていくことを大切にしています。
4. 態度変容を意識した切り口を探っていく
FICCでは「態度変容」というワードが話し合いの中で頻繁に出てきます。態度変容とは、カスタマージャーニーにおける「興味」から「関心」へ、「購入意向」から「購入」へといったユーザーアクションの変化です。そして態度変容を起こすためにどのような刺激を与えるのがよいかを、ペルソナ設計同様、プロジェクトメンバー全員で話し合います。
たとえば女性向けの商品のプロモーションにおいて、ターゲットである女性の身の回りで置きていること、興味や習慣などを多角的に見ていきます。そうすることで、直接的にその商品自体を打ち出すのではなく、ターゲットの興味や関心事などを切り口にして商品の話を展開するクリエイティブのアイディアが生まれていくのです。
5. 属人的な意思決定を行わず、リサーチをもとに判断する
クリエイティブの現場においては、注意をしないと属人的な意思決定が行われてしまう可能性があります。発言力の強い人の意見が採用されてしまうと、時に目的に対してベストではないクリエイティブが生まれてしまうこともあり得ます。
そこで重要なのは、リサーチをもとに判断をすることです。たとえばコピーテキストであれば複数の種類を用意して事前に調査を行い、反応のよいコピーを採用するべきでしょう。外部調査によって特定の属性のユーザーはテキストを読まない傾向があるとわかった場合は、動画コンテンツで訴求するのがよいと判断できる場合もあります。
さらに施策を行った後の効果測定ではアンケートで、ユーザーの態度変容を調査することもあります。
このようにさまざまなリサーチ結果をもとに、取るべきアクションやクリエイティブの反応が見えてきます。クリエイティブの役割はあくまでも目的を達成すること。そのために最適な意思決定のあり方は、属人的なものではなく客観的なものであるべきなのです。
6. クリエイティブは、コストではない
デジタルマーケティングにおいて、数値目標を達成できるクリエイティブは「コスト」ではありません。そして、つくって終わりというものではなく、そこから効果を測定し、そのデータから次のアクションを導き出していくことまでに意味があります。
もしも制作費を値切られてしまうことがあれば、それはクリエイティブがコストだと思われているからかもしれません。クライアントにとってクリエイティブの価値とは、ビジネス課題を解決することに他なりません。ディレクター含めクリエイターが意識すべきことは、コストと思われない、クライアントにとって価値のあるクリエイティブをつくることです。
おわりに:データに紐づくクリエイティブ制作は面白い
目的や戦略がなければ、つくったクリエイティブが効果があったかどうか評価できません。デジタルマーケティングにおいては、明確な目的や戦略があれば上述の通りクリエイティブの効果を数値で測定し、評価することが可能です。クリエイティブ制作の現場において、データをもとに次なるクリエイティブを考えていくことはディレクターにとっても成長機会であり、面白みを感じれられるポイントではないでしょうか。
そしてデータとして効果が見えてしまう以上、嘘をつけない現場でもあります。しかしFICCは代理店を通さず、クライアントと直接やり取りができるからこそ、効果のあるクリエイティブを提供できたときの喜びは大きいものとなります。
真摯にクライアントと向き合い、クライアントのビジネス課題を解決する、コストではない価値あるクリエイティブを生み出し続けること。それが、FICCが考えるディレクターの仕事です。
FICC広報担当