たとえ離れていても、心の距離は離れない──仲間への興味が育むFICCの組織づくり

離れた地にある事業所同士は、同じ組織として同じ想いを共有できるのか──?事業が拡大する中で距離の離れたFICCの東京と京都のオフィス。この二つのオフィスの距離を少しでも縮めようと、社内では「あるプロジェクト」が発足しました。このプロジェクトの舞台裏を通して見えるFICCが大切にする思いをお伝えします。

東京との距離を縮めたい!現場のアイデアで生まれた全社巻き込み型イベント

2013年、黎明期からFICCと共に歩んできた村松 勇輝が、西日本エリアで事業を推進しようと京都オフィスを立ち上げました。しかし、事業成長への期待とは裏腹にFICC社員の多くが在籍する“東京との距離の遠さ”には不安を抱えていました。

村松 「京都のメンバーは関西で採用した社員ばかり。立ち上げ当初は東京と連携する機会がなかなかなかったので、これからだんだん距離が広がっていく危機感を覚えたんです」

その後、2015年に東京・京都オフィスの全社員が参加する忘年会が初めて企画され、京都のメンバーが東京オフィスを訪れる形で4年間開催されてきました。

この忘年会は京都オフィスのプロデューサー齋藤 紫乃が「全社員が一同に介することで京都と東京との事業所間交流の機会を作りたい」と声を上げたことがきっかけでした。

齋藤 「2015年、たまたまジョインした東京の案件のプレゼンのために上京した際、東京オフィスで実際に会って話すことで、TV会議越しでは気づけないメンバー一人ひとりのパーソナルな部分、仕事以外の面に触れることができました。その結果『こういうときは○○さんに相談しよう!』と確信が持てるようになりました。その経験から、京都と東京のメンバー一人ひとりが業務外でも交流できる機会を作れないかと考えました」

齋藤がこうした思いを募らせ2015年に東京と京都の両オフィスのメンバーが一同に介する忘年会が初開催されました。こうした交流の機会を通じて次第に近づいてゆく京都・東京の両オフィスの距離感。そして、メンバー発の取り組みに対して経営陣も京都と東京の距離を遠ざけまいと、さまざまな施策が走り始めました。

西日本でのメディア・プロモーション事業の拡大に向けた布石

2018年からは、会社からの方向性の発信や事業部同士の相互理解の場として毎月の全社定例会議を開始。そして月1回のペースで現在の代表・森と取締役の戸塚が京都オフィスへの出張を開始します。そのようにして、東京と京都とが接する機会がだんだんと増えていきました。

そして2019年には、村松が京都の事業戦略として、メディアプロモーションのビジネスを西日本エリアで推進するため、東京からのノウハウやフレームワーク、知識の共有をより強化する戦略を掲げます。それが、後に「OIDEYASU PROJECT」と名付けられ始動していました。

村松 「東京の案件で蓄積されたナレッジを京都側でもより深く理解するために、OIDEYASU PROJECTでは東京メンバー数名を京都に招待しました。京都側で予算をとり、宿泊費なども持ちました。文字通りこちらで“おもてなし”をする形です」

東京のメディア・プロモーション事業部のプロジェクトチームによる事例紹介や、ブランドエクスペリエンスクリエイティブ事業部の事業部長によるブランドのフレームワークの講座など、東京のメンバーたちが京都に招待され、社員同士の相互理解や、さらなる知識の共有を強化するようになったのです。

2019年に村松が掲げた事業戦略は京都が担うメディアプロモーションのビジネスを西日本エリアで推進していくこと。その戦略の一環として、京都よりもたくさんの案件事例がある東京との連携をより強め、ノウハウや知識を深く獲得することが不可欠だったのです。

“大”OIDEYASUを通じてさらに深まったFICCのカルチャー

全社定例会の開催や役員による出張、そして京都ビジョン実現に向けて始動したOIDEYASU PROJECT──。こうした変化を通じて少しずつ距離が縮まってきた東京と京都のメンバー。しかし、それでもFICC全メンバーが参加し一同に介すことができるのは年末に東京オフィスで開催される忘年会のみでした。

自身が東京オフィスでメンバー一人ひとりと対話して築いた信頼関係。そしてそのプロセスにおける深いコミュニケーション。こうした世界を全社員規模で実現するには、次の忘年会で新しい価値を提供したい、と齋藤は感じたのです。

齋藤 「いつものように京都のメンバーが東京に行き、忘年会に参加するのではなく、OIDEYASUプロジェクトで京都に東京のメンバーを招いたように2019年の忘年会は、東京の全メンバーを京都に呼んでしまおうと思ったのです」

この齋藤の熱意は実現し、”大”OIDEYASUと名付けられ、京都オフィスではおもてなしに向けた準備が始まりました。プロデューサーやディレクター、デザイナーが加わり、インビテーションやミニサイトなど、イベントを盛り上げる小道具を作り上げました。忘年会当日も、京都メンバーが東京メンバーをアテンドする形にし、OIDEYASUの精神を随所に感じる企画が、東京メンバーと京都メンバーの心を一つにしたのです。

※ 当日のイベントの模様はWantedlyにてご覧いただけます

たとえ物理的に離れていても、心の距離は遠ざけない

村松は、将来的には地理的な制約はあれど、東京・京都関係なく、同じ思いをもったメンバーの集合体として、新たな価値創造、共に学ぶ環境を実現したいと考えています。

村松 「2013年から京都で新たな組織を作っていくなかで、常に考えている理想の組織は東京も併せたワンチーム。私が思い描くFICCというワンチームは、同じ文化や同じ思想をもってビジネスができる組織です。京都立ち上げからずっと大きなチャレンジとして捉えていたことでした。FICCの設立当初から関わるメンバーの一人だからこそ、その気持ちはずっと変わりません。今回の大OIDEYASU PROJECTで、全メンバーに対して会社へのエンゲージメントを高めるということを、京都チームが主体的になって達成できたことをうれしく思います」

何より齋藤をはじめ現場のメンバー一人ひとりがこうしたプロセスを通じて自らの経験から得た気づきは、FICCが大切にする「学際的リベラルアーツ」という考え方でも大事なものです。リベラルアーツでは、多様な学問を積極的に学び、自由に融合させ新しい発見や価値を見出していくことに本質があります。FICCはユニークな人材を結集することで「学際的リベラルアーツ」を体現し、社内外への価値提供につなげているのです。

村松 「学際的リベラルアーツの土台として大事なのは、齋藤のようにたとえ距離が離れているメンバーに対しても心から興味を持つということです。そうすることで一拠点のみで完結させるのではなく、様々なベクトルから新たな知識と知識を掛け合わせたコミュニケーションがうまれ、学びや価値創造に繋がっていくことを感じることができるのです。」

東京と京都、拠点が2つに分かれていても、FICCをワンチームと捉えている村松。このように捉えることで一歩先の未来を描けるようになったと追加します。

村松 「FICC全体として一人ひとりが学びを深めていくためにはどうするべきかを考えるようになりました。オンラインやTV会議越しでのコミュニケーションの増加で、場所に依存しない働き方がますます増えていくと思いますが、そんななかでも、メンバー同士が同じ文化や思想を共有して仕事ができる状態を作るということにはチャレンジし続けたいと思います」

メンバーが持つ個性を掛け合わせた価値提供を目指すFICCだからこそ、物理的な距離の隔たりに左右されることなく、メンバーどうしの価値観、目指す方向といった「心の距離」を近づけていくことを大切にしていきます。こうした思いが共鳴しあうことで、これからもきっと現場の交流から新たな試みが生まれてくることでしょう。

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