FICCでは、全スタッフが集う年末全社会を開催しています。この日は参加者が普段の業務を忘れ交流を楽しむ大切な場所です。去る2020年12月18日に「2020年度年末全社会」は開催されました。
5年前から始まった年末全社会は、通常オフラインで開催していました。2019年度年末全社会 大OIDEYASU PROJECTの様子はこちら。しかしFICCでは、新型コロナウイルス対策として2月中旬より原則出社禁止のフルリモートとなり、初のオンラインで年末全社会を開催することとなりました。
当日は一部運営メンバーを除き、約60名のメンバーが自宅から参加する初めてのイベントになりました。今回課題となったのは、オンラインで一体感をどう醸成するかという点です。同じ空間で共に時間を過ごしていると実感できる体験をどのように作るのか。FICCが実践したイベントの様子とその舞台裏をご紹介します。
年末全社会テーマ「MAKE ONE FICC!!」への想い
今回の全社会テーマは「MAKE ONE FICC!!」。
運営メンバーであり、今回の年末全社会のPMを務めたコーポレートチームの中村 萌子が、今回の年末全社会テーマとそれに込めた想いを語りました。フルリモートに移行し働いている環境がバラバラだからこそ、会社やスタッフ同士の繋がりがいつも以上に希薄になりがち。一人一人働く環境が違えど、改めて「チームっていいな、会社っていいな、FICCっていいな」と感じてもらいたいと考え、「MAKE ONE FICC!!」のワードを掲げました。FICCの組織テーマである「ONE FICC」は、対話を通して個々人の想いを新たな価値へ創造するという取り組み。あえてそれを”もう一度作り直す=MAKE”という意味を込めました。会社やチームで働くことの意義や価値について改めて気付いてもらえるような会を目指したと中村は言います。
しかし、社内へ事前に公開したテーマは「火星」。イベントに参加することで実感してもらいたいからこそ、イベント終了まで本来のテーマである「MAKE ONE FICC!!」を参加者へは伝えない予定だったと中村は語ります。年末全社会がスタートした5年前、業務を忘れて非日常を楽しんでほしいとの想いから、「実は全社会メンバーは火星人だった!」というストーリーを設定したのだそう。節目の意味合いも込めて、再び火星人の設定で伏線回収をしたのだと振り返りました。
イベントを支える運営メンバーの担当とこだわり
今回の年末全社会を企画したのは誰だったのでしょうか。
PMとして参加した中村 萌子をはじめ、メディア・プロモーション事業部 京都の齋藤 紫乃、コーポレートチームの加田木 智也、メディア・プロモーション事業部 東京の山内 彩、マーケティングナレッジ開発事業部の土屋 有未と、事業部もチームもバラバラである有志4名を中心に構成されています。数ヶ月前から、日常業務の合間を縫って準備を進めてきた運営メンバーたち。
さて、各メンバーがどのような想いを持ち寄与していたのか。前日までの準備から当日のタイムラインに沿って見ていきましょう。
招待状とお揃いのバーチャル背景を事前配布
事前に社内に配布された招待状とWeb会議サービスZoomの背景用素材は、「火星」がテーマということで宇宙を彷彿とさせるデザインとなっています。今回このデザインを担当した土屋は、フルリモート下となった2020年度にFICCにプロデューサーとしてジョインしています。実務で接する社内スタッフが限られるからこそ、できるだけより多くのスタッフと接点を持ちたいという想いがあり、運営メンバーとして立候補したと語りました。
背景のグリッドに目がいく印象的なデザインは、「多様性」を意識したのだと。参加スタッフの数に合わせたグリッド数に設定されているため、全ての色が少しづつ違っています。さらに細部を見てみると、火星人に扮した運営メンバーがいたりと随所にこだわりが感じられるデザインです。土屋はこの制作を通して社内から専門的なアドバイスをもらうことで、自身のデザインに対する苦手意識も払拭できたとも言います。
お揃いのZoom背景を設定することで、オンラインでも全員が同じ空間にいるような一体感や高揚感を感じられる演出となりました。
各自宅に届いたサプライズ「MARSBOX」
なんと、全社会前に全スタッフ宛の自宅に郵送された「MARSBOX」。こちらは主に中村が担当しました。過去のオフラインでのケータリングのように、オンラインでも美味しいものを食べつつ会を楽しんでほしいと、運営メンバー全員で考えて用意した詰め合わせです。
段ボールやスケッチブックにはFICCのロゴやイラストが入ったオリジナルのものを用意しています。さらに、名前入りの手書きメッセージや、事前の社内アンケートにてスタッフの趣向を反映したドリンクが同封され、参加者全員に楽しんでもらいたいという運営メンバーの想いから、ひとり一人に向けてパーソナライズされた内容となっています。こだわりのドリンクは、日常的にSDGsに関心のあるFICCメンバーだからこそ、国産・地産地消・社会貢献を意識し選定されています。
このBOXは、事前に社内スタッフも巻き込んで準備を進めました。可能な限り出社日数と人数を制限しつつ、準備をしたメンバーたちの努力や心遣いがあってこそ、このサプライズは実現しています。
当日、参加スタッフが一斉にBOXを開封した際に驚きの声が上がりました。当日まで開けないでほしいと言われていた白い小さな箱には、オリジナルのFICCロゴ入りタンブラーが同封されていました。「オンラインだからって妥協したくない。リアルでは集まれないけど、オンラインも結構いいじゃんと思ってもらいたい。」という中村の想いは確実に伝わっていたのだと。全員がタンブラーを掲げ、2020年度年末全社会はスタートしました。
miroを活用し対話で始まるグループ分け
今回は、全員がオンラインで参加していても誰が何をしているかがわかるインタラクティブな体験ができるよう、オンラインホワイトボードツールのmiroが導入されました。出席確認だけでなく、イベント参加時のチーム分けもこのmiroで行われました。Zoom上で話をしながら参加者の動きを可視化することで、双方向でのコミュニケーションが可能になります。このチーム分けと年末全社会のストーリー設計を担当したのは、5年前から年末全社会の運営に携わっている齋藤です。オンラインでの開催だからこそ、参加者一人ひとりが受け身にならず、かつ「会の盛り上がり=わちゃわちゃ感」をどのように設計するかが課題だったと言います。
まずは、ブレイクアウトルーム(Zoom)で振り分けられた数人のグループで話し合いをし、個々人の気質や特性ごとにチームスキルに必要な資質を割り振っていきます。これで決まると思いきや、さらに細分化されたチームに割り振りされるという、二段構えの手法。凝った演出に参加者から驚きの声が上がります。
齋藤は、フルリモートで働くようになり個の時間が多くなったからこそ、チームでの働き方について考えることが多くなったと語ります。「働く環境と同じように、自分で働くチームも選択できたら面白いのでは?」そんなチーム設計に対する考えのある彼女だからこその演出だったのでしょう。
ここで決定したチームで会は進行していきます。
オンラインで対話を深める仕掛け-謎解きゲーム-
火星に帰るための宇宙船の燃料をゲットするというミッションの元、チームメンバーで話し合いをしながら謎解きゲームに挑みます。
仕掛け作りで参加スタッフを楽しませたいと運営に参加した、山内の担当がこの謎解きゲームです。業務であまり関わりのないスタッフともチーム全員で意見を交わしながらミッションクリアを目指します。実務で使用している共同編集アプリGoogle Driveからフォルダを検索したり、MARSBOXにヒントが仕込まれていたりとデータとアナログを行き来しながら、手を動かして謎を解く導線となっていました。ゲーム中、FICCで日々使用しているチームコミュニケーションツールのSlackも活発に動いており、「謎解きはコミュニケーションツールとして優秀」と語っていた山内の工夫が感じられる内容でした。
ひとりでは成り立たないことを他者と協力し互いの特徴を活かし実践していくためには、どんな場面でも相互理解が必要になるのがチームであると。改めてこの時間を通して考えることができました。
オンラインで対話を深める仕掛け-コンセンサスゲーム-
続いて新たなゲームでイベントは進行していきます。「砂漠で生き延びる為にチームの力を合わせて、複数のアイテムを重要だと思う順番に並び替えろ」という内容で、コンセンサスゲーム(課題に対してグループ全員で話し合いコンセンサス=合意を形成するゲーム)に挑戦していきます。この企画を担当した運営メンバーは、常日頃から「物事を機会と捉えて発想するようにしていた」と言う加田木。リモートに移行した現在だからこそ、「オンラインだから年末全社会ができない」のではなく、「オンライン開催だからこそ新たにできること」を実行すべく、今年も年末全社会の実施を決めたのだと振り返ります。
そしてこの企画では、参加者に新たな気付きやチームワークの大切さを実感できる内容にするべく、個人の解答よりもチームで出した解答のほうがスコアが高くなる傾向が強いコンセンサスゲームを選定したと言います。ゲームを通してじっくりと対話をすることで、チームメンバーの仕事以外での新たな一面を見つけることができた時間でした。一人の知見や思考ではたどり着けない場所を見出せるのはチームの良さであり、チームの存在意義なのでしょう。
世情に合わせて皆が喜ぶ景品を
ゲーム終了後、合計スコアが高かった上位3チームに対して表彰が行われました。
役員である荻野・森・戸塚が用意した景品は、定額制動画配信サービス「NETFLIX」のギフトカードや、飲食店を先払いで応援するプロジェクトを展開するWebアプリ「さきめし」のチケット、お肉のギフト券と、家で過ごす時間を少しでも楽しんで欲しいと考えて選ばれたもの。外出が制限されたこんな時期だからこその気遣いに心温まります。受賞されたチームのみなさん、おめでとうございます。
今後も変化し続ける環境で社内の繋がりをさらに強くしていくために
イベントの最後に、代表の森はこのように言いました。「良い意味で裏切られる年末全社会だった」と。オンラインを制約と捉えるのではなく、特性を長所として活かした内容だったからこそのコメントでした。
FICCでは、自身の想いを伝え合う風習「ONE FICC」が文化として根付いているからこそ、運営メンバーたちの想いから出た問いを融合させることで、参加した各々が改めて会社やチームで働くことに対する新たな気付きを感じられた「MAKE ONE FICC!!」になったと思います。
開催後、集まったアンケートでは社内からこんな声が届きました。
- オンラインでここまで出来るのかととても感動しました。
- 難解な問題があることでコミュニケーション量も多くなり、とても良いイベントだった。
- 体感としてはみんなが参加できる仕組みにしてくれていたので、あっという間でした。
- FICCは、いろんな人がいておもろいなと改めて感じました!
- ゲームの難易度が高すぎて商品化できるのでは?
また、フィードバックを日常的に送りあっているFICCスタッフだからこそ、より良いイベントにするために改善できることにもたくさんの声が寄せられます。そこで、運営メンバーも振り返りをし、次回に向けての改善案を話し合っています。
「今回の年末全社会はオンラインだからこそのチャレンジができた。プロジェクトは結果に目がいきがちだけど、初めから100点が出せるわけではないし、社内のイベントでは結果にこだわらず、自分のやりたい事にポジティブにチャレンジしてみてもいいんじゃないかなと。まずはやってみるという文化が根付くといいですよね。」ー齋藤
「振り返ると、運営メンバーのチームワークが素晴らしく最高のチームだったと改めて実感。イベントの準備を通じて、リモート下では相手に配慮をしながらも遠慮しすぎないフットワークの軽さも大切だと気付きました。ちょっとした悩みでも、オンラインで顔を見ながら相談することですぐに解決することが多かったです。今後は社内コミュニケーションのアップデートのために、オンラインランチ会の継続や、働き方を考えるワークショップ、日常として何気なく組み込まれている1on1の質を向上させる業務に取り組んでいきたいと思っています。社内でやりたいことは追いつかないくらい…本当にまだまだたくさんあります。」ー中村
今まさにFICCでは、オンライン下でのコミュニケーションを追求している真っ只中です。今後も、急激に変化する環境と多様化する働き方の中でのコミュニケーション方法を模索しながら、新たな可能性にポジティブにチャレンジしていきたいと思います。
執筆:深澤枝里子(FICC)