地方発の企業やブランドと可能性を共創する。FICC京都が挑戦していること

FICCのメディア・プロモーション事業部は、社会的意義(パーパス)を持つブランドの生活者に対する活動の支援をする部署です。ブランドマーケティングを通じてどのような未来を描いてるのか。関西を拠点に地方の企業やブランドと向き合っている、メディア・プロモーション事業部 京都(以下、FICC京都)の事業部長である村松 勇輝、マネージャーの安藤 秀一、山本 洋平に語ってもらいました。

ハイブリットな役割で活動領域を広げるメンバー

FICC京都には、個性豊かでユニークなメンバーが揃っています。2013年にFICC京都を立ち上げた村松を中心に、クリエイティブに強みを持つマネージャーの二人が支えています。はじめにそれぞれの仕事における役割を聞きました。

左から:安藤 秀一、村松 勇輝、山本 洋平

村松:FICC京都の事業部長として事業の戦略を考える傍ら、プロデューサーとしてプロジェクトにも携わっています。プロジェクトを成功させるために、いろんな人たちを繋いで一つのゴールに向かって意識を集める役割を担っています。

安藤:マネージャー兼クリエイティブディレクターとして、クライアント対応やクリエイティブ制作の管理を担当しています。元々デザイナーとしてWebサイト制作に関わってきた経験から、今はクリエイティブチームで家を建てる際の現場監督のような形で案件に携わっています。

山本:僕も、安藤さんと同じくマネージャー兼クリエイティブディレクターですが、案件によってプロデューサーのような動きをすることもあります。今担当している案件では、プロデューサーと一緒に生活者調査やコミュニケーション設計から関わっています。

村松:二人のハイブリットな動きと同じように、僕もこれまでの経験からクリエイティブについても一緒に考えますし、この動き方はチーム全体に言えますね。

安藤:できる人ができる領域をどんどん広げている感じですよね。

村松:FICC京都は人数が少ないということもあって、得意領域はあれどプロデューサーとクリエイティブディレクターがお互いに当事者意識を持って案件に取り組んでいます。

「地方創生」「ブランド・サービスを作ること」で貢献する。FICC京都が目指す未来

「ブランドマーケティングで、世界に残したい企業やブランドをつくりだす」というミッションを掲げているFICC京都。事業部長とマネージャー、プロデューサーとクリエイティブディレクターといった立場の違う視点から、どのような未来を描いているのでしょうか。

村松:最優先しているのは、今いるFICC京都のメンバーで長く仕事をやり続けられて、みんなが幸せであること。気持ちよく仕事ができて、やりがいもあって、プライベートでもやりたいことができる、そういうチームでありたいし、会社だからこそできるサイクルを作りたいと考えています。

案件では、2021年10月にローンチした老舗の種苗メーカー・タキイ種苗様の「UETE」、北欧ブランド「ストッケ」など自分たち自身が応援したくなる、人におすすめしたくなるような企業やブランドとのお仕事ができています。その企業やブランドに触れる人たちがハッピーになるような仕事がしたいと思っています。

山本:クリエイティブチームではこれまで培ってきたデジタルを中心としたクリエイティブスキルを活用し、地方で新たにブランドやサービスを立ち上げたい方々に価値提供できないかと考えています。

ここ数年、企業が自ら企画・製造した商品を、生活者へ直接販売する「D2C(Direct to Consumer)」というビジネスモデルが注目されています。そして、商品やサービスをSNSやWebサイトで知ってオンラインで購入する生活者も増えています。「D2C」を活用することで、まだ価値に気づいてもらえていない地方の商品と生活者を直接繋げることができます。

また、大手企業だけでなく、これまで出会うことがなかった地方に拠点を置く人たちと一緒に取り組むことで、地方創生にも繋がるのでは、と考えています。今後は徳島のワーケーションへの参加を予定しており、そこでも人との繋がりを作っていきたいですね。

安藤:クリエイティブチームで今期の取り組みを話し合うミーティングでは、メンバー間で「CM動画を作りたい」「こんなサイトを作ってみたい」といった技術的な部分も含む、自分達がやりたいことを出し合いました。理想のイメージがなければ自分のスキルや経験の活かし方が分からなくなるので、それぞれがじっくり時間をかけて自分やメンバーと向き合いました。

村松:答えは自分達の中にあるってことなんですよね。自分を知ることが取り巻く外側の世界を作っていくんです。だから、「自分には関係ない」と思ったら関係のない世界になるけれど、自分のことを深く知って「関係あるかも」と思ったら関係のある世界が広がっていくんです。そういうアプローチが今のFICC京都はできていて、自分達がやりたい仕事を引き寄せている感じがします。やりたいことへの理解がチーム内でできていれば、仕事への理解度も高くなるんですよね。

クライアントと並走し、新たなチャレンジは一緒に成長する機会に

「自分達がやりたい仕事をする」という姿勢を貫く三人ですが、実際どんな仕事を行っているのでしょうか?最近取り組んでいる具体的な案件について振り返ります。

安藤:僕が関わっているストッケ様とは、新製品ローンチに合わせたキャンペーンやEC集客など、年間を通じてデータ計測を基にさまざまな施策を行っています。目的・戦略を考えて施策を実行し、レポートを作成して次回に活かすというPDCAを回しています。動画広告はサイズによってユーザーの反応も全然違ったりするので、細かい部分まで分析して次回施策に活かし、やって終わりではなく結果も資源として次に活かすことを徹底しています。

事例紹介
子育てに向き合うSTOKKEのブランドの考え方を浸透させるブランド施策
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村松:中途半端なメディア計測はせず、結果を出すことに注力しているんです。施策で得た学びは他のプロジェクトにも必ず活かせるから、どんどんノウハウがアップデートされていくんです。クライアントのビジネスを成功させるために、自分達も知識を吸収してレベルアップできている実感がありますね。

山本:僕はタキイ種苗様と、今までにないブランド「UETE」を作るということに取り組んできました。年配の人向けのイメージが強い家庭菜園ですが、若い人達にも興味を持ってもらえるように、ブランドの世界観やプロモーションの設計・アクションなどをクライアントと並走しながら考えていました。プロジェクトメンバー全員でイチゴの苗を育てて、生活者の気分を感じながら進めることができました。意外に育てるのって難しいんですよ。初めて園芸に触れたメンバーが一番ハマり、たくさん収穫していました(笑)。

事例紹介
家庭菜園をもっと身近な存在に。老舗種苗メーカーの新ブランド「UETE」開発
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安藤:日々の観察を欠かさずInstagramのストーリーにアップして、害虫の研究までしてましたよね(笑)。うちは小さい息子がいるので、ストッケのトリップ トラップを愛用しています。他にも飲料やサプリメントなど、クライアントの商品を実際に自分で使って納得した上でプロジェクトに取り組んでいます。

山本:最近は新しいことに取り組む機会が多い分、難しさを感じることもあります。例えば、あるプロジェクトではマスメディア広告に対する提案を行った際、これまでに取り扱った経験が少ないこともあって、施策に対する評価が難しかったですね。

村松:その背景として、クライアントから依頼される範囲が広がってきているんですよね。これまで自分達が経験したことのない施策へのチャレンジが増えると共に、課題を感じることも多くなっています。その課題解決に向けて新しくインプットし続ける必要があって、常に学び続けている状態です。

「デジタルマーケティング」から「ブランドマーケティング」にシフトしたことで、オンラインだけでなくリアルも含めて柔軟に頭を働かせる必要も出てきました。イベント出店などオフラインも含めたユーザー体験の施策について相談をいただくこともあります。色々な相談をされることが多くなった分、クライアントとの距離はどんどん近くなっています。

安藤:そうですね。僕はクライアントと同じ会社の他部署にいるような感覚で連携をしています。やって終わりという施策がない分、連絡が途絶えることがないくらい密にコミュニケーションをとっています。だからこそ、継続的にクライアントと共通認識を持つことができて、相手が今求めていることを考え、動きやすいようにリードすることもできるんですよね。

村松:あと、クライアントとの連絡手段がチャットツールに変わったことが大きいですね。メールの定型文を挟むことがなくなったし、人対人として向き合えている感じがします。メールに比べて相談のハードルが下がっている実感もあって、チャットツールでやりとりしているクライアントとの距離感は特に近い気がします。

熱量を持って取り組む。やりたいことをとことんやれるチームに

最後に、今後どんなチームにしていきたいかをそれぞれの視点で語ります。

安藤:思いやりがあって愛のあるチームにしていきたいですね。自分が持っている専門分野やスキルを活用して、みんなが前面に出ていくようなチームでありたい。自分が関わる案件が価値に繋がっていると実感できて、やっていてよかったと思える状態が理想です。チームだけでなく、クライアントともWin-Winな関係性でありたいと思っています。

山本:仕事を通じて、地方でまだ気づかれていない価値のあるものが広まるといいなと思っていて、そうなると働く場所もその時々で変えられたらいいんじゃないかと思います。みんなが様々な場所に住んでその地域に関わる案件に取り組んでいたり、日本を超えて海外へ移住したりするなど柔軟な働き方が理想ですね。最近ヨーロッパのジョージアではノマドワーカーが集まっているらしく、面白そうだなと調べていました。好きを起点に仕事がしたいし、その方がメンバー同士にとっても刺激になると思うんですよね。実際に体験しないと分からないことばかりだし、ワーケーションにもどんどんチャレンジしていきたいですね。

村松:やりたいことをとことんやれるチームでいたいなと思います。やりたいんだったら死ぬ気でやる、逆にやりたくなかったら絶対やらないみたいな(笑)。Webサイト制作からスタートしてブランドマーケティングにシフトしていく中で、クライアントと一緒にメンバーみんなが成長してきました。熱量を持って仕事ができているし、熱い人たちと一緒に仕事がしたいと思っています。これまでもその姿勢でやってきたからこそ、今クライアントと一緒に喜びを共有できる関係性が築けているんですよね。当事者意識を持って相手のビジネスに頭を働かせているから、結果に対して喜びや悔しさから次はこうしようと自然に出てくる。それを続けていると、自分たちにとっても必ず結果がついてくることに気づいたんです。

最後に、これからもセンスの良いチームでいたいと思います。みんなひっくるめてチーム全体で見たときに「いい仕事してるね」と言われるような、仕事からも働き方からもそう感じさせたいですね。

メンバーそれぞれがやりたいことを仕事と掛け合わせ、プロジェクトで実践しているFICC京都。自分達の感覚を信じ、確かなデータと学びによって結果に繋げることに奔走しています。クライアントと並走してブランドを育み、地方創生の先に見据えた「世界に残したい企業やブランドをつくる」という、本当に実現したい未来に向けて、FICC京都の挑戦はまだまだ続きます。

執筆:黒田洋味(FICC) / 撮影:岡安いつ美

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